日常生活における注意点

年齢別の注意点

乳児~「お座り」まで時間をかけましょう~

 運動発達の遅れ:本来の運動器官である神経・筋肉には異常がないので、合併症がなければ一人で歩くことができます。知能も正常で社会生活もできます。ただし、寝返り、四つんばい、つかまり立ちなどができるまで時間がかかります。座位は、少なくとも腹臥位(腹ばい)で肘での支持が可能になって、前腕あるいは肘支持で頭を持ち上げるようになってからさせましょう。無理に座位や立位をとらせると、脊柱の後弯など、症状を悪化させるので十分な注意が必要です。

 日常生活での注意点:肥満になると関節に負担をかけるので、気を付けましょう。軟骨異栄養症児の9割は、2歳までに一度は中耳炎になるといわれています。乳児では中耳炎の症状が分かりにくいため、聴力検査もかねて定期的に耳鼻咽喉科を受診しましょう。水頭症の合併がある場合は、脳神経外科を定期的に受診しましょう。他の合併症にも注意が必要です。

幼児~焦らず、その子なりの発達を~

 日常生活での注意点:頭囲が大きく、よく頭から転ぶので、注意しましょう。衣服の脱ぎ着、トイレトレーニングなどには多少の手伝いが必要です。

 入園前に園と懇談し、蛇口位置、トイレ、踏み台、机や椅子の高さ、園生活や行事の参加方法など、なるべく他の子どもたちとで同じにできるよう相談しましょう。

 中耳炎に注意:軟骨異栄養症児の9割は、2歳までに一度は中耳炎になるといわれています。症状に気付きにくい中耳炎になることも多く、軽度難聴になると言葉の発達に影響したり、治療困難な中耳炎に進展したりすることもあります。定期的に耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を行いましょう。

 また、睡眠時の呼吸障害(いびき)に注意し、疑わしい場合は、肺機能検査や睡眠検査を行いましょう。

小学生・中学生・高校生~治療の継続と学校生活の工夫~

 学校生活での注意点:入学前に就学相談を行い、蛇口位置、トイレ、ロッカー、机や椅子の高さ、ランドセルや道具類などについて相談しましょう。教科書を2部用意(1部は自己負担)し、学校と家の両方に置いておくと便利です。また、負担にならない軽いランドセルを選びましょう。

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 背骨、特に頸椎が不安定なため、強い力を加えると障害が起こる可能性があるので、マット運動などは避けましょう。リコーダーの穴に指が届かない場合は、改造されたものを用意しましょう。

成人~定期検診の継続を~

 定期健診:睡眠時の呼吸障害(いびき)は命に関わることもあるため、注意が必要です。疑わしい場合は、肺機能検査や睡眠検査を行いましょう。また、ひざや腰の痛みなど、成人になってから問題となる障害も多いので、主治医を決めて相談しましょう。

 普通自動車運転免許:運転免許試験場の安全運転相談窓口で、改造車か普通車の適性検査を受けます。警察庁が全国統一の安全運転相談ダイヤル(♯8080)を開設しています。免許取得の際の助成金や自動車の改造費用の一部に助成金が出ることもありますので、行政機関に相談しましょう。

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