軟骨異栄養症の治療

軟骨無形成症と軟骨低形成症

軟骨無形成症の特徴

 軟骨無形成症では、生まれたときから近位四肢短縮型の低身長があり、未治療の場合、成人の身長は男性で平均130cm、女性で平均124cm程度です。そのため、自動販売機などに手が届かないなど、社会生活で十分な配慮が必要です。

 症状は、体に比べ頭が大きく、ひたいが突出しています。鼻根部は陥凹していますが、下あごは前へとび出しています。乳児期になるとおなかが膨隆し、背骨が後ろにとび出して曲がってきます。その後、臀部が突出するようになります。指は短く、伸ばすと中指と薬指の間にかなりの隙間があります。これは三尖手(さんせんしゅ)といわれます。知能はほとんどの場合正常です。

軟骨無形成症の原因

 軟骨無形成症は約2万分娩に1人の割合で発生すると考えられ、患者数は日本で約6,000名と推定されています。発生頻度に性差はありません。この病気の遺伝形式は常染色体優性遺伝ですが、約80%以上は健常な両親から生まれており、FGFR3の突然変異が原因です。

軟骨低形成症の特徴

 軟骨低形成症は、遺伝形式は軟骨無形成症と同じ常染色体優性遺伝ですが、発症頻度は軟骨無形成症の約1/8です。特徴の近位四肢短縮型低身長は、出生時は明らかではなく、乳幼児以降に徐々に目立ちはじめます。

 軟骨低形成症の症状は比較的軽いものからはっきりしているものまでさまざまなタイプがあり、必ずしも均一な疾患とはいえませんが、一般的には軟骨無形成症よりも症状が軽いとされています。

 頭部、顔貌は正常とあまり変わらないことが多いです。肘関節の伸展制限(肘関節のところで腕を伸ばしにくいこと)および前腕の回外制限(前腕を外向きに回しにくいこと)がありますが、三尖手は認めません。9%程度に軽度の精神発達遅滞が認められます。

軟骨低形成症の原因

 軟骨低形成症の原因は軟骨無形成症と同じくFGFR3遺伝子の異常です。しかし、変異の部位が軟骨無形成症とは異なり、典型例ではFGFR3のチロシンキナーゼ1 という部位に突然変異が生じています。

 明らかに軟骨低形成症の症状があっても遺伝子変異が見つからないケースもあります。したがって、軟骨低形成症は身体症状、X線、遺伝学的検査などを総合して診断されます。

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