くる病の症状と原因

くる病の症状と原因

くる病とは

 骨を鉄筋コンクリートにたとえると、鉄筋に相当するのがI型コラーゲンなどの蛋白質で、コンクリートがカルシウム、リンです。骨のなかではカルシウムとリンが結合してハイドロキシアパタイトという結晶をつくって、骨の硬さを保っています。これが不足すると骨は柔らかくなります。この状態を骨軟化症といいます。

 子どもは骨の端に成長軟骨板という特別な構造があり、この軟骨が石灰化して骨に置き換えられて骨が長くなります。しかし、カルシウムとリンが足りないと石灰沈着が起きず、この置き換えがうまくいかなくなって、成長軟骨板がぎざぎざになったり横に広がったりして骨が伸びなくなります。この状態をくる病と呼びます。くる病は、成長軟骨板がある子どもの骨だけに発生する骨軟化症といえます。

くる病の症状・所見

 横に広がった成長軟骨板は体の外側からでもみることができます。肋骨に起きると前胸部の中央から1/3ぐらいの場所に縦方向に並ぶ数珠状の腫れとなり、 肋骨念珠と呼ばれます。同じように手首の部分も腫れます。また、骨が柔らかくなり、変形します。最もよくみられる骨の変形はO脚です(図1)。

図1

 乳幼児期はもともとO脚傾向にあり、骨が柔らかくなることで、より強くあらわれます。下方の肋骨には内側に横隔膜という強力な筋肉が付着しているので、この部分も変形し内側に引き込まれます。これはハリソン溝と呼ばれます。背骨の弯曲も生じます。

 子どもの骨は柔らかくなっても、弱くなって折れることは少なく、若木骨折という不全骨折の形で、X線では横方向に走る細い白い直線に見えます。骨がポキリと折れてしまう骨形成不全症と大きく異なる点です。

くる病の原因

 実際にはカルシウム欠乏単独でくる病が起こることは少なく、通常低リン血症によって起こります。低リン血症の原因は、大きく分けて次のようなことがあります。

・ビタミンDの働きが足りない(ビタミンD欠乏に代表される)
・腎臓からリンが大量に漏れる(家族性低リン血症性くる病に代表される)

JP21NORD00120