骨形成不全症は、重症度に非常に個人差があることは述べました。現在、最もよく用いられている疾患の分類法は、1979年にSillenceらが発表した重症度に準じて行った分類です(表1)*。この分類法では、骨形成不全症は4つの型に分類されています。それぞれの病型について、その特徴を述べたいと思います。
この病型は低身長がなく、骨変形をあまり来さない疾患群と分類されています。骨折の回数はほかの病型と比較して少ないため、骨折が治る過程での変形が起こ
りにくいからだと考えられています。Ⅰ型の場合は、家族に同じ骨形成不全症の人がいないと、この病気であるということに気付かない人も存在するものと思わ
れます。Ⅰ型は常染色体優性の遺伝形式(図6)をとるため、家族性に起こる骨形成不全症と考えられます。Ⅰ型コラーゲンの合成量が低下した場合に、このタ
イプの骨形成不全症になります。
臨床症状としては、青色強膜(眼球の白い部分が薄い青色にみえること)があります。また、歯のぞうげ質の形成が悪いタイプと正常なタイプがあります。
この病型は周産期に死亡してしまうことが多く、骨形成不全症の最重症型とされています。骨の強度が非常に弱く、出生時にいろいろな部位の骨折を起こしま
す。頭蓋内出血を起こしたり、胸郭の低形成のため呼吸ができずに亡くなられると考えられています。遺伝子の突然変異や、まれではありますが常染色体劣性遺
伝(図6)によって発症し、コラーゲンの質的な異常が原因となります。
Ⅱ型に次いで重症の病型です。Ⅱ型と異なり長期に生存が可能であり、そのために頻回な骨折による骨変形や低身長を来してしまいます。車椅子などの生活制 限を余儀なくされる人もいます。常染色体優性遺伝形式をとり、コラーゲンの質的な異常によって起こります。この病型では、出生後しばらくは青色強膜を呈し ていますが、次第に強膜は正常な白色に変化します。
この病型はⅠ型に次いで軽症とされていますが、その程度はさまざまです。強膜は正常な白色を呈しており、常染色体優性遺伝をとります。歯の象牙質の形成の有無で2つのタイプに分類されます。
Sillenceの分類を簡単にまとめると表1のようになります。
一方、Sillenceの分類に当てはまらず、またコラーゲン異常が原因ではない骨形成不全症患者が存在することが判明し、それぞれ骨形成不全症Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ型と新たに分類されました**~****。
前述しましたが、Ⅶ型の原因はCRTAPの異常であることが分かりました。
* Sillence DO, Senn A, Danks DM.: Genetic heterogeneity in
osteogenesis imperfecta. J Med Genet 16: 101-116, 1979
**
Glorieux FH, Rauch F, Plotkin H, et al.: Type V osteogenesis
imperfecta: a new form of brittle bone disease. J Bone Miner Res 15:
1650-1658, 2000
*** Glorieux F, Ward L, Rauch F, et al.:
Osteogenesis imperfecta type VI:a form of brittle bone disease with a
mineralization defect. J Bone Miner Res 17: 30-38, 2002
**** Labuda M, Morissette J, Ward LM, et al.: Osteogenesis imperfecta
type VII maps to the short arm of chromosome 3. Bone 31: 19-25,
2002
平井 治彦 / 摂南総合病院小児科
大薗 恵一 / 大阪大学大学院医学系研究科小児科学 教授
(清野 佳紀監修 :
改訂版骨の病気と付き合うには,メディカルレビュー社 : 162-165,2010) )
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